自動車事故で加害者が無保険だったら?被害者救済の現実と対処法

法律

最近、SNSでも話題になっている「任意保険未加入車両の増加」。

2023年11月、札幌で起きた走行中の軽乗用車から外れたタイヤが4歳の女児を直撃する事故、女児は後遺症で今も寝たきりのままです。それだけでなく、運転手が任意保険に未加入で、女児と家族が十分な金銭的補償が受けられない可能性が高いことも苦しめる要因の一つです。

何も悪くない被害者が泣き寝入りするという現実が日本で起きています。

もしあなたがそうした無保険車に事故を起こされた場合、どのような補償を受けられるのでしょうか?
この記事では、被害者が取るべき対応と、補償の受け方について詳しく解説します。


加害者が「無保険」とはどういう状態?

まず初めに、日本の自動車保険には2種類あります。

  • 自賠責保険(強制保険):法律で加入義務あり。最低限の補償。
  • 任意保険:加入は任意。多くの賠償に対応できる保険。

「無保険車」とは主に、任意保険に加入していない車を指すケースが多いです。

任意保険の加入率は全国平均で約74.1%とされており、約4台に1台が未加入の状態です。 特に軽自動車では未加入率が23.6%と高く、地域によっては50%を超える未加入率の地域も存在します。


事故に遭った場合、まずやるべきこと

  1. 必ず警察を呼ぶ(人身事故扱い)
     後々、保険請求や政府の制度を利用する際に、交通事故証明書が必要です。
  2. 病院で診察・治療を受ける
     自賠責保険や政府保障事業では、診断書・治療明細が必要になります。

自賠責保険での補償は受けられる?

加害者が自賠責保険に加入していれば、以下の補償が受けられます。

  • 傷害:120万円まで
  • 死亡:3000万円まで
  • 後遺障害:75万円〜4000万円(程度による)

ただし、自賠責だけでは十分な補償とは言えず、慰謝料や逸失利益などはカバーされないこともあります。


加害者が自賠責すら未加入 or ひき逃げだった場合

このような場合は、政府保障事業(国の制度)を利用できます。

【政府保障事業の概要】

  • 自賠責と同等の補償内容
  • 請求は事故日から2年以内
  • 加害者不明や無保険であることが条件

2023年度の政府保障事業によると、無保険車による事故は98件発生し、ひき逃げ事故と合わせて333件の被害者に対して約4億8,200万円の保障金が支払われました。

請求は、自賠責を扱う損害保険会社を通じて行います。


自分の保険で救済されるケースも

任意保険に入っている場合、以下の特約がついていれば補償が可能です。

  • 無保険車傷害保険:加害者が任意保険未加入でも死亡・後遺障害をカバー
  • 人身傷害補償保険:自分や同乗者の怪我に対して補償される

加害者に賠償を請求する場合の注意点

仮に加害者に賠償請求を行い、裁判で勝訴したとしても、お金が回収できるとは限りません

【その理由】

  • 加害者に資産や収入がないと、強制執行しても取れない
  • 裁判費用・弁護士費用が自己負担になる可能性が高い
  • 結果的に「費用倒れ」になることも

現実的には、加害者に支払い能力があるかどうかを弁護士などを通じて確認し、それから訴訟を検討するのが無難です。


加害者が自賠責に加入している場合、政府保障事業は使えない?

その通りです。

政府保障事業は、あくまで以下のような「自賠責による補償すら不可能なケース」に限って利用できます。

  • ひき逃げ
  • 無保険車(自賠責未加入)
  • 車両不明

加害者が自賠責に加入している限り、まずはその保険会社に請求する必要があります。


まとめ:泣き寝入りを避けるためにできること

状況補償の受け方
加害者が任意保険加入相手の保険から補償
加害者が任意保険なし、自賠責あり自賠責保険から補償
加害者が自賠責すら未加入 or ひき逃げ政府保障事業を利用
自分が任意保険加入無保険車傷害、人身傷害特約を活用
賠償請求しても払われない強制執行も可能だが、費用倒れのリスクあり

最後に:あなた自身の備えが最大の防御

無保険車との事故は誰にでも起こり得る現実です。泣き寝入りを避けるためにも、自分の保険内容(特約)を今一度見直すことをおすすめします。

また、被害に遭った際は、早めに専門家(弁護士)に相談することで、損害を最小限に抑えられる可能性が高まります。


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