2024年に全国各地で開催予定だった「イングリッシュキャンプ」が突然中止となり、多くの保護者から返金に関する苦情が寄せられています。
主催者である株式会社ハローワールドと、事業運営を担当していた宮城復興支援センターに対し、「返金対応がなされない」「連絡が取れない」といった声が相次いでいます。
主催者と運営者の関係
このキャンプ事業は、
- 宮城復興支援センター(一般社団法人):キャンプの企画・運営を担当
- 株式会社ハローワールド(宮城県登録の旅行業者):旅行企画・実施(宿泊・交通など)を担当
という形で共同運営されており、実質的に一体となって事業を展開していました。両者は仙台市内の同じビルに事務所を構えており、密接に連携しています。
小学校で配布されたチラシに関する責任は?
一部の地域では、当該キャンプのチラシが小学校で配布されたことから、「学校側にも責任があるのでは?」という疑問も上がっています。しかし、
- 学校は配布依頼を受けただけであり、主催や推薦を意味しない
- 内容に意図的な関与や利益供与がない限り、法的責任は問われにくい
とされており、通常は罪に問われることはありません。
返金されない場合に問える責任とは?
返金されない場合、主催者に対して以下のような責任を問うことが可能です。
民事責任
- 債務不履行(民法第415条)
- 契約に基づくサービス提供がなされず、返金もない場合に成立。
- 不当利得(民法第703条)
- 正当な理由なく受け取った金銭を返さない場合に適用されます。
これらは少額訴訟(60万円以下)などで請求することができます。
刑事責任
- 詐欺罪(刑法第246条)
- 最初からサービスを提供する意思がなかった場合や、虚偽説明で金銭を集めた場合に成立の可能性があります。
- ただし、立証が難しく、警察も慎重な対応をとるため、民事での解決が一般的です。
行政対応
すでに宮城県は100件以上の相談を受けており、株式会社ハローワールドに対し返金を求める行政指導を行いました。今後は業務停止などの処分も検討されています。
被害に遭った方が取るべき対応
- 消費生活センターに相談
- 内容証明郵便で返金請求の意思を示す
- 少額訴訟を検討
- 悪質性が明らかな場合は警察や弁護士に相談
この問題は、キャンプや教育イベントを通じたトラブルの典型例とも言えます。今後同様の被害を防ぐためにも、事前の情報収集と、怪しい団体には安易に申し込まない慎重な姿勢が求められます。