NE(441A)IPOまとめ:EC/SaaS支援企業としての可能性とリスク

経営・経済

2025年11月4日(火)、SaaS型のEC支援プラットフォーム事業を手掛ける NE(エヌイー) が、東証グロース市場に上場予定です。
本記事では、会社概要・上場スケジュール、投資家目線での評価、配当方針、妥当株価レンジなどをわかりやすく解説します。


NEとは? 事業内容・沿革

  • 会社名/コード:NE(441A)
  • 事業内容
    主力は、EC事業者向けのクラウド(SaaS)型プラットフォーム「ネクストエンジン」の運営。受注管理・在庫管理・複数モール連携など、ECの運営効率化を支援。加えて、ECコンサルティング、ふるさと納税支援/地方創生事業も実施。
    後者事業は拡張性・社会性を併せ持つ分野。
  • 設立と構造
    設立:2022年5月(比較的新しい会社)
    元は Hamee(モバイルアクセサリー等を手掛ける企業)からのスピンオフ。Hameeが保有株を配当分配する形で独立化する構造が予定されているとの見方。
  • 拠点・規模
    従業員:129名(2025年8月時点)
    平均年齢/勤続年数なども開示されており、若年層構成でスタートアップ色が強い体制。

上場スケジュール・株式条件

項目内容
上場予定日2025年11月4日(火)
市場東証グロース
主幹事証券みずほ証券
公募株数500,000株
売出株数0株(売出なし、公募中心)
オーバーアロットメント(OA)75,000株
発行済株式数(上場時)16,501,001株
仮条件提示日2025年10月15日
ブックビルディング期間10月17日~10月23日
公開価格決定日10月24日
申込期間10月27日~10月30日

調達資金使途は、目論見書(許可されたIPO情報)によれば、オフィスの増床、採用/人件費、マーケティング、運転資金などに充てる予定とされています。


財務・業績データ(目論見書・公表資料より)

こちらは、NEの直近業績および予想ベースの数値を整理したものです。

決算期売上高(千円)経常利益(千円)当期純利益(千円)純資産(千円)EPS(円)BPS(円)
2023年4月2,536,5351,063,471537,9292,016,692約134.48約504.17
2024年4月3,768,1531,588,3061,032,9032,887,596約64.55約180.46
2025年4月3,925,2561,524,630940,1093,517,705約58.75約219.84
2026年4月(予想)4,201,0001,469,000973,000
  • 利益率が高め(経常利益率・営業利益率が30〜40%前後)という実績も開示されています。
  • 配当については、直近期では配当実績あり(月次配当金として 70.00円、77.50円、40.50円などの実績が記載されています)
  • ただし、IPO後の配当方針については「当面は無配」または内部留保重視との見方も示されている情報があります。

PER / PBR 指標

  • 想定価格(730円)ベースでの PER は、概ね 11〜13倍 程度と見積もられているものがあります。
  • PBR(自己資本倍率)も 3〜4 倍程度という見方。

配当方針・配当実績

  • 過去期には配当を出していた実績があり、例えば 2024年4月期配当 77.50円、2023年期配当 40.50円といった記録があります。
  • ただし、IPO目論見段階では 「当面の間は無配を基本とし、利益還元より成長投資を優先する方針」 と示す可能性がある記述が散見されます(EC支援・成長事業企業によく見られるスタンス)
  • 実際には、成長見込みや業績安定性が高まれば将来的に再度配当を出す可能性も見込まれます。

投資家目線での評価・リスク・魅力

✅ 魅力・強み

  1. 高収益性モデル
     売上に対して利益率が高めという実績がある点。数十%クラスの営業利益率を維持しているという開示。
  2. 成長ドメイン(EC支援・SaaS)
     EC市場拡大トレンド、DX需要、ネット通販運営者支援というテーマ性。テーマ性が強い。
  3. 需給条件のやさしさ
     公開株数が 500,000株、売出なし、オファリングレシオが低めという点が「株が流通しにくい=需給的に有利」な構図になる可能性。
  4. スピンオフ構造
     Hamee が保有株を分配して独立する形態であるため、既存株主の売却動向リスクはあるが、事業独立性が強まる可能性も。

⚠️ リスク・注意点

  1. 若い会社・設立年数
     設立が 2022年と新しく、まだ事業基盤が完全に成熟していないリスク。
  2. スピンオフ後の浮動株増加
     Hamee 保有株の分配に伴い、公開後すぐに売却可能な株が出回る可能性があるという懸念。需給が崩れる可能性。
  3. 成長期待 vs 実績ギャップ
     成長性を市場が過大評価すると、実績とのズレで調整圧がかかること。
  4. 配当の不確実性
     配当方針は今後の業績・経営判断に左右されやすい。配当だけを目当てにはしにくい。
  5. 市場・マクロリスク
     グロース株は金利や投資マインド変化の影響を受けやすい。

妥当株価レンジ(想定価格ベースからのシミュレーション)

想定公募価格が 730円 とされており、これを基点に PER・PBR 視点でレンジを見立てるアプローチが一般的に使われています。

たとえば:

PER株価目安コメント
10倍約 580円保守的評価ライン
15倍約 870円安定成長を見込んだライン
20倍約 1,160円成長性を織り込む水準
25倍約 1,450円高成長期待込みの上限ゾーン

このあたりをもとにすると、「730円」という想定価格は PER 12〜13倍あたり に対応する見方もあり、成長性期待を多少織り込んだ水準といえます。実際、予想ベースでも PER が 11〜13倍程度と見積もられている情報があります。

初値予想としては、案として 1.7倍以上(1,241円以上) という予想も専門メディアで挙げられています。


NE(441A)IPOのポイント

2025年11月4日、グロース市場に上場予定の NE(エヌイー)。
EC運営支援プラットフォーム「ネクストエンジン」をコア事業とし、Hamee からのスピンオフという形で注目を集めています。

サラリーマン投資家の観点からみると、以下のようなスタンスが考えられます:

  • テーマ性・成長性重視で狙う成長株
     EC/SaaS支援というテーマへの期待が大きい。
  • 初値期待寄りの中期〜短期狙いもあり
     公開株数が抑えられており、需給的には初値プレミアムが付きやすい構図。
  • ただしリスクも無視できない
     設立年数の浅さ、スピンオフ由来の株流出リスク、配当不確実性など。
  • 妥当レンジのイメージ
     10〜20倍あたりを前提とすれば、600〜1,200円台くらいが検討範囲。公募 730円 からの上昇余地は十分あると見込まれる。

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