2025年11月5日、ヘアケア・スキンケア製品ブランドを展開する ファインHD(ファイントゥデイホールディングス) が、東証スタンダード市場に新規上場する予定です。
この記事では、会社概要、上場スケジュール、投資家視点での評価、妥当株価レンジなどを整理して解説します。
会社概要・事業内容
- 社名:株式会社ファイントゥデイホールディングス(Fine Today Holdings, コード:420A)
- 上場市場:東証スタンダード市場
- 上場予定日:2025年11月5日
- 事業内容:ヘアケア、フェイスケア、ボディケア等のパーソナルケア製品の企画・製造・販売・マーケティング(国内・海外)
- 上場の背景・沿革のポイント:
- 元々、資生堂グループの日用品事業を切り離す形で発足。
- 過去にはプライム市場上場予定を取り下げた事例もあり(申請中止)
- 以後、事業基盤を整え、今回改めてスタンダード市場で上場を目指す動きに。
IPOスケジュールと基本条件
項目 | 内容 |
---|---|
想定発行価格 | 1,470円 |
公募株数 | 12,925,100株 |
売出株数 | 15,818,700株 |
オーバーアロットメント | 4,311,500株 |
取り扱い証券会社(主幹事ほか) | SMBC日興証券(主幹事)ほか、SBI証券、楽天証券、大和証券、ゴールドマン・サックス、UBSなど |
ブックビルディング期間 | 10月20日 ~ 10月24日予定 |
公開価格決定日 | 10月27日予定 |
申込期間 | 10月28日 ~ 10月31日予定 |
払込日 | 11月4日予定 |
上場日 | 11月5日予定 |
また、上場日における公開株数(公募+売出+OA分)や上場時の時価総額は、上記の株数・想定価格で見積もると相当な規模になります。
財務・業績データ(目論見書等から)
以下は、目論見書をもとにした連結ベースなどのデータです。
期 | 売上高(連結) | 経常利益(連結) | 当期利益(連結) | 1株当たり利益 / 指標 | 純資産等 |
---|---|---|---|---|---|
2024年12月期予想 | 約 1,073億円 | 調整後営業利益 約145億円(過去実績ベース) | — | — | — |
実績(直近公開情報) | 約 107,395 百万円(1,073.95 億円) | 約 6,572 百万円 経常利益(連結) | 約 988 百万円(純利益) | 純利益ベース 1株当たり利益は複数期指標から推定(目論見書記載) | 純資産や1株当たり純資産等は目論見書で開示あり(minkabuに掲載) |
また、株式併合が行われたことにより、過去数値は遡及調整されて表記されているものがあります。
目論見書などでは、1株当たり純資産や1株当たり利益なども記載されており、指標比較が可能です。
投資家視点での評価・リスク・魅力
✅ 魅力・期待点
- ブランド力・既存製品ライン
「TSUBAKI」「UNO」など知名度あるブランドを持ち、既に消費者認知が一定程度ある点は強み。 - 規模の大きさ・事業基盤
売上1000億円クラスの企業であり、製造・販売網も国内外で展開。安定性の土台が比較的厚い。 - 成長目標
公表では、売上収益をさらに拡大、営業利益も改善させていく目標を掲げている。 - マーケット期待・IPO注目度
過去のIPO見送り経験を経て、改めての上場ということで市場の関心はあると見られる。
⚠️ リスク・懸念点
- IPO需給の重さ
公開株数が多く、売出株主体である点が需給的に重荷となる可能性。 - 市場環境・金利変動
マクロ環境(利上げ・金利上昇など)が逆風になる可能性。 - 収益性・利益率の課題
売上規模は大きいが、利益率(特に純利益ベース)は浮き沈みしやすく、コスト増(原材料・物流など)リスクもある。 - 過去の上場中止・信頼性の課題
以前に上場承認を受けながら中止した経緯があるため、一部投資家に慎重姿勢を抱かせる可能性。 - 配当政策不透明
予測ベースでは配当も可能性が示されているが、過去実績は無配または未定。投資判断には配当方針も注視すべき。
妥当株価レンジ(予測値ベース)
以下は、想定発行価格や目論見書データをもとに、PER等で株価レンジを仮に推定したものです。あくまで仮のシミュレーションです。
- 想定発行価格:1,470円
- 想定EPS や利益見通しから、PERをかけて評価する方法を取る投資家も多く見られます(例:PER20倍、25倍、30倍等)
- 一部予想サイトでは、初値レンジを 1,430円 ~ 1,600円 とする予測もあります。
たとえば、
PER | 株価レンジ目安 | コメント |
---|---|---|
20倍 | 1,200〜1,400円程度 | 安定成長を期待する水準 |
25倍 | 1,500〜1,700円程度 | 成長見込み加味のレンジ |
30倍 | 1,800〜2,100円 | 成長性を強く評価する場合の上限近辺 |
このあたりを基準に見ると、公募価格1,470円は「PER 20~25倍」水準と見なす向きもあります。
実際の株価動きは、需給・ジャッジ・市場ムード・初値需給が大きく影響します。
ファインHD IPOのポイント
ヘアケア・スキンケア製品を手掛けるファインHDは、既存のブランド力と事業基盤を背景に、比較的大型かつ注目度の高いIPOです。
ただし、公開株数が多く、売出比率が高いことは需給リスクを孕んでおり、初値上昇には慎重な見方もあります。
サラリーマン投資家の目線から言えば、以下のスタンスが現実的かもしれません:
- 短期での初値狙い:公開価格割れリスクも考慮しつつ、需給動向・市場波に注意
- 中長期保有視点:安定収益基盤と成長目標を見て、公開価格近辺が試金石
- 配当目当てではなく、成長・ブランド期待重視型株 と見ておくべき