最近、ESP32というマイコンチップに「バックドア」が仕込まれているとITmediaが報じました。
しかし、これは誤報であり、実際にはESP32にバックドアは存在しません。
本記事では、誤報の経緯と、実際に発見された「隠し機能」の正体について詳しく解説します。
ITmediaの報道とその経緯
2025年3月、ITmediaが「ESP32にバックドアが仕込まれている」とする記事を掲載しました。
この報道のもとになったのは、スペインのサイバーセキュリティ企業 Tarlogic Security の調査報告です。
Tarlogic Securityは、ESP32のチップ内に メーカー非公開の隠し機能(hidden opcodes) が存在することを発見しました。
これらの隠し機能を悪用すれば、攻撃者がチップの動作を低レベルで制御し、信頼されたデバイスになりすます可能性があると警告しています。
しかし、ITmediaの記事では 「バックドアが仕込まれていた」 という表現が使われたことで、「メーカーが意図的に不正アクセスのための機能を埋め込んでいた」と誤解される形になりました。
その後、ITmediaはこの記事を修正し、誤報であったことが判明しました。
実際には「隠し機能」だった
では、Tarlogic Securityが発見した「隠し機能」とは一体何だったのでしょうか?
隠し機能(hidden opcodes)とは?
マイコンチップには、通常の開発者向けに公開されているコマンド(命令セット)とは別に、 デバッグや製造時のテストに使用される特別なコマンド が存在することがあります。
ESP32の場合、これらのコマンドは公開されていませんが、特定の条件下で 外部から実行できる可能性 があることが判明しました。具体的には、次のようなリスクが考えられます。
- 信頼されたデバイスになりすます
- 隠しコマンドを利用して、デバイスの識別情報を改ざんする可能性
- メモリへの不正アクセス
- 特権レベルを変更し、本来アクセスできない領域に侵入する可能性
ただし、これらの隠しコマンドは通常の使用では発動せず、 悪用するには特定の条件を満たす必要がある ため、すぐに深刻なセキュリティ問題になるとは限りません。
また、Tarlogic Securityも 「バックドア」とは断定していない ため、ITmediaの表現は行き過ぎたものであったことがわかります。
ESP32ユーザーはどうすればいいのか?
今回の件を受けて、ESP32を使用している開発者やメーカーはどのような対応を取るべきでしょうか?
1. セキュリティアップデートに注目する
ESP32のメーカーである Espressif は、この隠し機能の存在を認識しており、今後のファームウェアアップデートで修正する可能性があります。公式の情報をチェックし、適切な対応を行いましょう。
2. IoTデバイスのセキュリティ意識を高める
今回のように、IoTデバイスには 開発者が意図しない隠れた脆弱性 が存在することがあります。
- 不審な通信がないかログを確認する
- ファームウェアを定期的に更新する
- 不必要なネットワーク接続を遮断する
といった対策を取ることで、リスクを最小限に抑えられます。
まとめ
今回のESP32の件は、「隠し機能」=「バックドア」ではない ことを示す良い例となりました。
- ITmediaは「バックドア」と報じたが、それは誤報だった
- 実際にはデバッグやテスト用の隠しコマンドが存在していた
- 悪用される可能性はあるが、意図的な不正アクセス用機能ではない
- ESP32ユーザーは、セキュリティ対策とファームウェアアップデートを意識するべき
IoTデバイスのセキュリティは今後も重要な課題です。誤報に振り回されず、正しい情報をもとに対応していきましょう。