アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、教皇の葬儀に青いスーツで出席したことが、日本の一部メディアで大きく取り上げられました。
「服装規定に反している」「マナー違反だ」といった批判的な論調も目立ち、ネット上でも賛否が分かれる話題となっています。
しかし実際に調べてみると、この報道にはいくつかの問題点が見えてきます。
本記事では、事実関係を整理しながら、日本メディアにおける偏向報道の問題について考えていきたいと思います。
トランプ大統領の服装に関する報道
日本のいくつかのニュースサイトやテレビ番組では、「教皇の葬儀にはダークスーツ(黒)がマナーであるにもかかわらず、トランプ大統領だけが青いスーツで参列した」と報じられました。
その報道では、まるでトランプ氏が唯一の例外であり、常識外れな行動を取ったかのような印象を受ける内容となっていました。
SNS上でも一部では「国際儀礼を無視した失態」といった批判が拡散され、話題を呼びました。
実際の事実:服装規定は厳格ではなかった
ところが、現地の報道や参列者の写真をよく確認してみると、事情は異なります。
まず、教皇の葬儀において、参列者の服装規定は厳格なものではありませんでした。
もちろん「黒を基調とする落ち着いた服装」が推奨される場面ではありますが、必ずしも厳密なドレスコードが定められていたわけではありません。
また、トランプ大統領以外にも、青系のスーツや黒以外の服装をしていた参列者が複数存在していました。
具体的には、
- イギリスのウィリアム王子がダークブルーのスーツを着用
- アメリカのジョー・バイデン前大統領も、黒スーツに青いネクタイを着用
- インドのムルム大統領も青系の衣装で参列
といった例がありました。
これらの事例からもわかる通り、「トランプ氏だけが場違いな格好をしていた」というのは事実とは言えません。
服装規定に対する運用は、宗教や文化的背景も考慮され、比較的柔軟に受け止められていたのです。
なぜ日本メディアは偏った報道をするのか?
メディア報道には、多かれ少なかれ編集方針や視聴者・読者層への忖度が影響します。
特にトランプ大統領に関しては、日本の多くのメディアが否定的なスタンスを取ってきた歴史があります。
こうした背景から、「トランプ氏を悪く見せる情報は積極的に取り上げ、逆に好意的に見える情報はあまり伝えない」というバイアスが働きやすい状況になっています。
また、話題性を重視する報道姿勢も一因でしょう。
「国際儀礼を無視したトランプ」というセンセーショナルな見出しは、読者の興味を引きやすく、PV数や視聴率を稼ぐためには好都合だったのかもしれません。
わざと他の青いスーツの参列者が映らないように切り取られたサムネイルにするなど!非常に悪質な記事もあります。
偏向報道を見抜くためにできること
私たち視聴者・読者側にも、自衛のための姿勢が求められます。
- 一つのメディアだけでなく、複数の情報源を参照する
- 国内メディアだけでなく、海外メディアの報道もチェックする
- ファクトチェックサイトや一次情報(公式声明、写真、映像)を確認する
こうした意識を持つことで、メディアが意図的か無意識かにかかわらず作り出す「偏ったイメージ」に惑わされにくくなります。
まとめ
今回のトランプ大統領の服装問題は、メディアリテラシーの重要性を改めて考えさせる一件でした。
一部の日本メディアによる報道は、事実を正確に伝えるという本来の使命から逸脱し、「印象操作」に近いものになってしまっていたと言わざるを得ません。
私たち一人ひとりが、情報を受け取る際に「これは本当か?」「他の視点はないか?」と立ち止まって考えることが、これからますます重要になっていくでしょう。