AIベンチャー「オルツ(Alt)」をめぐる粉飾決算疑惑が、ついに刑事事件化する可能性が出ています。
経営陣の逮捕が報じられる中で、すでに株を保有していた投資家はどのような影響を受け、何ができるのでしょうか。
この記事では、一般サラリーマン投資家の視点から、現状と今後の対応策を整理します。
オルツの現状:粉飾決算と上場廃止の経緯
オルツはAI分野の有望株として注目を集めましたが、
第三者委員会の調査によって売上の9割が過大計上されていた可能性が発覚しました。
その結果、
- 2025年7月末に民事再生を申請
- 8月31日付で東京証券取引所グロース市場から上場廃止
という事態に。
上場廃止後、株式は取引停止となり、投資家は実質的に「資産がゼロ」となっています。
逮捕が株主に与える影響
結論:株価には直接影響なし
すでに上場廃止済みのため、経営陣が逮捕されたとしても株価が下がる・上がるといった影響はありません。
また、株券が再び有価証券として復活することもありません。
ただし、間接的な影響は大きい
経営陣の逮捕が確定すると、不正の構造が司法的に明らかになり、
「虚偽開示による損害賠償請求」が現実的になります。
つまり、株主が損害賠償を求める法的根拠が強まるということです。
株主が取るべき対応:損害賠償請求の流れ
粉飾決算などの虚偽開示があった場合、
投資家は金融商品取引法第21条の2に基づき、損害賠償請求を行うことができます。
流れは以下の通りです。
ステップ | 内容 |
---|---|
① 情報収集 | 虚偽記載の有無を確認(報告書・報道など) |
② 証拠整理 | 自分の株の購入時期・金額を記録(証券口座で確認) |
③ 弁護士・株主団体へ相談 | 集団訴訟(クラスアクション)に参加 |
④ 損害額の算定 | 粉飾発覚後の下落幅などを基準に算出 |
⑤ 訴訟または和解 | 経営陣や監査法人と争う、または和解で解決 |
相談できる主な機関
- 全国株主オンブズマン
株主の権利を守る市民団体。過去にオリンパス・東芝事件などを手掛けています。
👉 https://kabunushi-on.jp - 証券取引被害全国弁護団
証券詐欺・粉飾事件の集団訴訟に強い弁護士ネットワーク。
👉 https://shohisha.com - 地元の弁護士会
無料の法律相談を実施。
「株式損失」「投資被害」で予約可能。 - SNS・株主グループ
「#オルツ株主」「#Alt被害者の会」などのタグで情報共有される場合もあります。
損害賠償請求の対象と金額の目安
項目 | 内容 |
---|---|
請求対象 | 経営陣・監査法人・会社(再生債権扱い) |
損害算定基準 | 「購入価格 − 発覚後の時価」× 保有株数 |
実際の回収率 | 大企業事件では1〜3割程度の和解例あり |
税務面での救済も可能
オルツ株が上場廃止となったことで、損失として確定申告に反映可能です。
特定口座であれば「上場廃止損」として証券会社が自動計上してくれる場合もあります。
損益通算・繰越控除によって、他の株の利益や配当と相殺でき、
税負担を軽減することができます。
サラリーマン投資家が今すぐできる3つのこと
優先度 | 行動 | 目的 |
---|---|---|
★★★★★ | 証券会社で取引履歴を保存 | 損害額の証拠確保 |
★★★★☆ | 株主団体・弁護士への相談 | 集団訴訟に備える |
★★★☆☆ | 税務処理の確認 | 損益通算で税金軽減 |
まとめ
オルツの経営陣逮捕が事実となった場合、株主に直接の金銭的影響はないものの、
損害賠償請求の根拠が明確化するという点で重要な転換点となります。
株価の回復は期待できませんが、
「損失を法的に回収する」あるいは「税務上で損を減らす」ことは、
一般投資家でも十分可能です。
焦らず、証拠を整理し、法的手続きを進めることが今できる最善の一手です。