はじめに
最近、SNSや一部インフルエンサーの発信をきっかけに、
「JPモルガン(JPM)がMicroStrategy(MSTR)を大きくショートしている」
「MSTRが急騰するとJPモルガンが破綻する可能性がある」
といったセンセーショナルな主張が拡散しています。
しかし、これらの主張には憶測が含まれており、現時点で報道されている“事実”と、それに付随して語られる“推測”を区別する必要があります。
本記事では、大手メディア・公式発表・アナリストレポートなどで確認できる 客観的事実のみ を整理します。
事実①:JPモルガンは韓国で空売り規制違反による罰金処分を受けた
韓国の金融監督機関(FSS)は、JPモルガンを含む複数の外国金融機関に対し、
空売り規制違反(ネイキッド・ショート) を理由に罰金を科すと発表しました。
- 韓国では「裸売り」は資本市場法で禁止
- 違反に対して制裁金が科せられる
- 報道では「破綻につながる」「経営危機」などの文言は使われていない
これはあくまで「法令違反で罰金を受けた」という事実であり、SNSで語られるような「致命傷」「破産リスク」という解釈は確認されていません。
事実②:JPMorganはMicroStrategyの“指数除外リスク”をレポートで指摘
JPモルガンのアナリストは、以下の点を警告しています。
● MicroStrategyがMSCIなど主要株価指数から除外される可能性
これはMicroStrategyが 保有資産の大部分をビットコインが占める特殊企業 であるため。
● 指数から除外されると何が起きる?
- インデックス連動型のファンドが「強制売却」する
- 流動性が低下する
- 資金調達が難しくなる
- 株価のボラティリティが上昇する可能性
JPMorgan のレポートは リスク分析として現実的で、複数のニュース媒体で報じられています。
※ただし、ここにも「JPMが巨大ショートを抱えている」という記述はない。
事実③:MicroStrategyを巡る“破産”や“巨大ショート”の話は報道されていない
SNSで語られている主張には、以下のようなものがあります:
- JPMorgan が MSTR に巨大ショートポジションを持つ
- MSTR が 50% 上昇すると JPM が破綻する
- Bitcoin 上昇で JPモルガンが危機に陥る
しかし これらの具体的なポジション情報や破綻リスクについて、信頼性のある報道は確認されていません。
機関投資家のデリバティブポジションは通常公開されず、
「破産リスク」を裏付けるような報道も現時点では存在しません。
なぜ“対立構図”が語られがちなのか?(事実+背景)
現実として以下の構造はあります。
- MicroStrategyは世界最大級のビットコイン保有企業
- JPモルガンは伝統金融の中心にいる大手銀行
- JPMのアナリストはMSTRのリスクを高めに評価している
- Bitcoin派のインフルエンサーはMSTRを支持する傾向
これにより、
「伝統金融 vs Bitcoin企業」という対比構造
が語られやすく、SNSで誇張されやすい状況が生まれています。
まとめ:把握すべき“事実”はこれだけ
✔ JPモルガンが韓国で空売り違反の罰金 → 事実
✔ JPモルガンがMSTRの指数除外リスクを警告 → 事実
✔ 「巨大ショート」「破産リスク」 → 報道なし(拡散されている主張)
現状で確認できる範囲では、
「JPモルガンがMicroStrategyで破産リスクを抱えている」というのは事実ではなく、SNS発の憶測です。
ただし、
・韓国での空売り問題
・MSTRの指数リスク
など「構造的に金融市場での緊張がある」のは確かで、
そのため話題として広がりやすい状況にあると言えます。

