退職代行サービス「モームリ」が、非弁行為(弁護士資格のない者が法律事務を行う行為)の疑いで取り沙汰されています。
SNS上では「退職代行ってもう使えないの?」「利用した人も罪になるの?」といった声が広がっています。
結論から言うと、利用者が処罰される可能性はほぼありません。
ただし、いくつか注意すべきポイントはあります。
非弁行為とは?モームリ問題の概要
「非弁行為」とは、弁護士資格のない者が報酬を得て法律事務(交渉、請求、和解など)を行うことを指します。
退職代行サービスが違法とされるのは、単に「退職の意思を伝える」だけでなく、
会社と交渉したり、未払い賃金の請求を代行したりする行為を行っていた場合です。
モームリについては、弁護士監修をうたっていながら、実際の交渉を無資格者が行っていたのではないか、という疑義が報じられています。
現時点では「摘発確定」という報道はありませんが、弁護士会や行政による調査・勧告が進む可能性があります。
利用者に罰が下る可能性は?
結論として、退職代行を利用した人に刑事罰や行政罰が下ることはありません。
非弁行為の主体はあくまで「業者側」であり、利用者はそのサービスを受けただけに過ぎないからです。
つまり、
- 弁護士法第72条(非弁行為の禁止)
- 労働組合法の制限
これらは、利用者ではなく業者に適用されるルールです。
したがって、退職代行を依頼した本人が罪に問われることはありません。
ただし注意が必要なケースもある
ごくまれに、次のようなケースではトラブルに発展することがあります。
違法行為への関与があった場合
業者と共謀して違法スキームを作り上げた、違法であると知りながら依頼した──
このような場合は理論上「共犯的な関与」とみなされることもあります。
ただし、過去に利用者が立件された例はありません。
虚偽申告やなりすまし
退職理由を偽ったり、別人を装って退職届を提出した場合、
本人が主導した虚偽行為として信用毀損罪や文書偽造罪に問われる可能性があります。
民事トラブルに巻き込まれる
違法な業者を使った結果、退職手続きが無効だと会社側から主張されることも。
この場合、再度自分で手続きをやり直す必要が出ることがあります。
利用者にとっての現実的リスクまとめ
項目 | 利用者への影響 |
---|---|
非弁行為による刑事罰 | ❌ なし |
行政処分 | ❌ なし |
損害賠償リスク | ⚠️ 業者トラブル次第 |
手続きやり直しの可能性 | ⚠️ あり得る |
安全に退職代行を利用するには?
退職代行自体が違法なのではなく、「どこまでやるか」で合法・違法が分かれます。
安心して使うためには、次のポイントをチェックしましょう。
- ✅ 弁護士事務所が運営しているか
- ✅ 労働組合型で、交渉範囲が明確に示されているか
- ✅ SNSや口コミで「非弁行為の疑い」が指摘されていないか
- ✅ 契約書・利用規約をよく確認する
合法的な退職代行サービスは多数存在します。
「退職代行=違法」ではありません。
まとめ:利用者は罪に問われないが、業者選びは慎重に
モームリのように非弁行為が疑われるケースが出てくると、
「退職代行を使っただけで犯罪になるのでは?」と不安になりますが、
利用者が処罰されることは原則ありません。
ただし、違法業者に依頼すれば、
・手続きのトラブル
・退職無効の主張
・返金トラブル
といったリスクに巻き込まれるおそれがあります。
退職代行を利用する際は、合法性と運営体制の透明さを確認することが何より重要です。