2025年4月、世間を驚かせる最高裁の判決が確定しました。
たった1000円の着服で、約1200万円の退職金が全額カットされたのです。
いったい何が起きたのか?
この判決が意味することは何か?
詳しく解説します。
事件の概要:京都市営バスの元運転手に下された厳しい処分
事件の当事者は、京都市交通局に勤務していたバス運転手(当時58歳)。
問題となった行為:
- 乗客から受け取った運賃1000円を着服
- 勤務中に電子たばこを5回使用
これらの行為を理由に、懲戒免職処分が下され、さらに約1211万円の退職金も全額不支給となりました。
元運転手が訴訟を起こすも…最高裁が「不支給は適法」と判断
元運転手側は、「金額が少なく、弁済も済んでいる」として処分が重すぎると主張。京都市を相手に退職金不支給の取り消しを求めて訴訟を起こしました。
しかし、
- 地裁
- 高裁
- そして最高裁
すべての裁判所が「処分は適法」と判断しました。
最高裁の主な判断理由:
- バス運転手という職務は、公金(運賃)を直接扱う信頼性が求められる
- 電子たばこの使用も含め、職務規律の重大な違反である
- 退職金不支給は妥当な懲戒処分の範囲内
判決の意味:1円たりとも支払われないことが確定
この最高裁の判決によって、退職金は1円も支払われないことが確定しました。
すでに最終審であるため、これ以上争う法的手段はありません。
また、京都市が自主的に支払う可能性も事実上ゼロでしょう。
仮に民間企業だったら?
もしこれが市営バス運転手ではなく、民間企業の会社員だったらどうだったでしょうか?
結論からいうと、会社による です!
民間企業では、公務員のような法令に基づく退職金制度があるわけではなく、就業規則や退職金規程がすべてです。
よって、規程に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」とあれば不支給だし、そうでなれば、一部支給というケースもありえます。
規程がなければ、交渉や裁判に発展する可能性もありますね。
世間の反応:「厳しすぎる」?「当たり前」?
SNSやネット上では、以下のような意見が飛び交っています。
- 「たった1000円で人生終わりはキツすぎる」
- 「弁済もしてるのに退職金ゼロはやりすぎでは?」
- 「バス運転手の信頼が壊れたのだから当然」
- 「規律を守る仕事だから仕方ない」
金額の多寡ではなく、「信頼を裏切ったこと」が問題視されたのがポイントですね。
※Xでは、裏金議員の問題を取り上げて、議員に優しく庶民に厳しいとった声も聞かれますね。裏金議員の処分が正しく行われていないことに対する不満が爆発しているようです。気持ちは分かります。
公務員の退職金制度と懲戒処分について
地方公務員法や各自治体の条例では、懲戒免職になった場合、退職金を一部または全額不支給にできると定められています。
今回のケースは、その制度が厳格に適用された一例といえるでしょう。
まとめ:信頼は一瞬で失われる。金額ではなく「誠実さ」が問われた判決
今回の判決から学べるのは、「1000円だから軽い問題」ではないということ。
信頼を失う行為は、それ以上の大きな代償を生むという事実を示しています。
どんな職業でも、「バレなきゃいい」「少額だから大丈夫」は通用しません。
今回の最高裁判決は、そんな当たり前を強く突きつけた象徴的な事件でした。